いま鷺沼小学校では、積極的なPTA改革が進められています。変化し続ける鷺沼小PTAの特徴や、目指すものとは?PTA広報委員がさぎまると一緒にお話をうかがいました!

写真左:小林 美代(こばやし みよ) 川崎市立鷺沼小学校校長。東京都杉並区出身。白幡台小、宮崎台小を経て高津小で支援コーディネーターを務めたのち、東柿生小、犬蔵小で教頭、上作延小では校長を務めた
写真右:吉井 光生(よしい みつお) 川崎市立鷺沼小学校PTA会長。山口県下関市出身。広告会社に勤務。鷺沼へは春待坂の桜並木に惹かれて移り住んだ。2人の男の子の父
目次
- はじめに自己紹介をお願いします!
- Q. 鷺沼小ってどんな学区?
- Q. PTAって何のためにあるの?
- Q. 鷺沼小PTAの特徴は?
- Q. 地域と学校の関係って?
- 最後に保護者へメッセージをお願いします!
はじめに自己紹介をお願いします!
小学校の担任の先生に憧れて教員に。サッカークラブチームの監督をして広がった地域のご縁
小林先生:私は、最初は川崎市の小学校ではなく、私立小学校に数年勤めていたんです。職場結婚を機に退職して川崎市の教員採用試験を受け、市の教職員となりました。その後は市内6つの小学校で勤務し、2019年に鷺沼小に着任しました。当時はコロナによる緊急事態宣言下で、着任してすぐ3ヵ月間休校になったことが思い出されます。
吉井会長:私は同じ2019年度にPTA副会長を、翌年からは会長をやらせて頂いています。校長先生は、コロナ禍を共に乗り越えてきた同志。振り返ると感慨深いですね。
―小林先生はどうして小学校の先生になろうと思われたんですか?
小林先生:小学校時代に4年間お世話になった担任の先生に憧れたんですよ。その先生は、人間性を育てることを一番大事にされていて、子どものやる気を引き出し導いてくださった。私も先生のように、子どもの人格形成を担う仕事がしたいと強く思うようになりました。

「小学校は6年間ありほとんどの教科を担任が教えます。そういう意味で小学校教員は、子ども一人ひとりに長く深く関わることができる仕事。自分の進路に迷いはありませんでした」
―素敵ですね。吉井さんはどうしてPTAに?
吉井会長:私はもともと地方の出身で、関西の大学に進学し、就職を機に上京したんです。10年前鷺沼に引っ越してきた時は、地域に知り合いが全くいなかったんですが、長男がさぎぬまS.C.(※)に入団したことをきっかけに、監督を6年務めまして。少しずつ知り合いが増えてきた折に、どなたかがPTAに推薦くださったんです。まさか自分がと驚きましたが、推薦してくださる方がいるならやってみよう、と決心しました。
※ 鷺沼小を拠点に活動する地域の小学生サッカークラブ。チームメイトの保護者がボランティアで監督、コーチ、運営などを行う。1979年に設立された伝統あるクラブチームで、あの三笘 薫選手と田中 碧選手の「鷺沼兄弟」を輩出したことでも有名

「スポーツが好きで小学生ではサッカー、中高生は陸上(長距離)、大学ではアメフトをやっていました。社会人になってからも長男が入学するまでタッチフットボールを本格的にやっていました」
Q. 鷺沼小ってどんな学区?
多様な人々が住む街、鷺沼。保護者の熱意は鷺沼小の財産?!
―鷺沼小学区は都会的で、中学受験も盛んで教育熱心な家庭が多いイメージがありますが、実際はどうですか?
小林先生:その通りだと思います。都心にアクセスしやすく駅からも近いので、通勤のしやすさを考えて住んでいる方が多いのかなと感じます。共働きのご家庭もとても多いですね。もっとも、私は以前の鷺沼を知らないので、時代の変化もあるかもしれませんが。

鷺沼のシンボル「春待坂」の下に位置する鷺沼小。2026年度に創立50周年を迎える
吉井会長:教育熱心な方は多いですよね。子どもに様々な体験をさせてあげたいと、勉強だけでなくスポーツや文化活動などにも、貪欲に取り組む保護者が多いなぁと感じます。
小林先生:そうですね。音楽などご自分のご職業や得意分野を生かして、学校に関わろうとしてくださる保護者も多いんですよ。
吉井会長:僕のような地方出身者や転勤族が多いのも特徴ですよね。海外在住経験のあるご家庭も珍しくないですし、色々な方が住む街だと思います。
小林先生:他県や他地区から引っ越してきたご家庭が多いですね。ややもすると家庭同志のつながりが薄くなりがちだという心配はありますが、その一方で鷺沼町会には地域愛が強く熱心な方が多いので、家庭と地域の関わりがもっと増えると良いのかなとは感じています。
Q. PTAって何のためにあるの?
PTAの本質は「子どもの健やかな成長」。保護者は学校の応援団
―お二人は、PTAの目的はどこにあると考えますか
小林先生:保護者の皆さんは、学校運営に不可欠な存在。「学校の応援団」という役割を担っていただいていると私は考えています。
―保護者も役割を持つ一員なんですね
小林先生:はい。なかでもPTA運営委員(※)は保護者代表として、保護者の意見を吸い上げてとりまとめて下さる、学校の一番の理解者だと私は考えています。PTAがあるから、たくさんの保護者によるスムーズな協力体制ができ、学校というものがまわっています。
※ PTA本部役員(会長・副会長・書記・会計)および子どもサポート委員会・フェスタ委員会・広報委員会・校外生活委員会の各委員長・副委員長で構成される
小林先生:今年度の運動会もまさにそうでした。有馬中で実施するにあたってPTAからは様々な提案をいただき、学校側もそれを取り入れていきました。子どもサポーターの数も過去最多となり、子どもたち、保護者の方々と学校が一緒になって行事を作り上げることができたと思っています。

運動会当日に集まった「子どもサポーター」の皆さん。誘導や受付などの手伝いを行った。参加者は特別エリアでの観戦ができる特典があり、多くの保護者から「我が子が走る姿を目の前で撮影できた」など喜びの声が
吉井会長:僕は、PTAの目的って「子どもたちの健やかな成長のため」に尽きると思うんです。大切なのは保護者が学校に関わることであり、PTAはそのための場。それがPTAの本質だと思います。パパやママが学校のために何か活動をしている姿を、子どもに見せることって大事だと思うんです。「パパやママと先生は仲良しだ」という環境が、子どもの成長につながっていくんじゃないでしょうか。
―確かに「大人たちが一緒になって、自分のことを見守ってくれている」という安心感は、子どもの「挑戦したい、学びたい」という意欲につながっていくのかもしれませんね

2024年度は、PTAからテントを学校に寄贈。PTA会費がより良い教育環境の整備のために使われている
Q. 鷺沼小PTAの特徴は?
コロナが転機となり変わるPTA。時代に合ったあり方を模索し改革を推進
―鷺沼小PTAでは、吉井会長のリーダーシップのもと、様々な改革をやっていますね
吉井会長:改革は僕ひとりではできません。鷺沼小PTAには、熱心で推進力がある方が多くて、とても助けられています。宮前区内の他小学校PTAとも積極的に情報交換をして、互いに良いところを取り入れてもいるんですよ。いま、たくさんの小学校で「時代に合ったより良いPTAに変えていこう」という改革が進められているんです。

鷺沼小PTAでは、メンバーの得意分野を活かし、ムダをなくし効率化を進めるなどの改革を進めている
―どの小学校も、PTAは転換期にあるんですね
吉井会長:はい。来年度から鷺小PTAも、これまでの抽選制度を廃止して「立候補と記名による推薦制」にシフトします。立候補が出なかった活動についてはやりません。「できる人が、できる時に、できること」をするポジティブな場に、もっともっとしていきたいです。
小林先生:私はコロナを機に、PTAに対する世の中の意識が変わったと感じています。以前は「PTAは義務」というイメージが強かったかと思いますが、「活動を見直しムダをなくそう」という機運が全国で高まりました。鷺沼小PTAの皆さんは、時代の変化を敏感にキャッチして、いち早く改革を進めていただき、とてもありがたく思っています。

PTA広報委員会では、子どもたちの生き生きとした姿やPTAのメリットなどを、広報紙でどう伝えるか検討を重ねた。「楽しく無理せず」をモットーに様々な取材を実施
Q. 地域と学校の関係って?
「学校は地域」と言われるゆえんとは?地域で次世代の担い手を育てていく
―学校にとって地域との関わりが大切だと聞きますが、なぜですか
小林先生:公立の小中学校の多くは、地域の方々の熱望があって設立されているんです。「我が町に学校をつくろう」という熱望や、土地の選定に関わるなどの協力があってできている。学校とは、地域の熱意そのものなんですね。
―そうなんですね。初めて知りました
小林先生:地域にとって、子どもは次の時代の担い手です。例えば、地域にある神社の伝統文化などは、学校の授業に取り入れて子どもが学ぶことで、後継者が育ちます。親だけではなく、地域にとっても子どもは大切な存在なんですよ。

2023年に行われたさぎ沼商店会主催の「さぎ沼秋まつり」では、鷺沼小学校も協力。街の中には、鷺沼小学校の子どもたちが作ったガーランドがいたるところに飾られた
吉井会長:鷺沼町会の方は「子どもは宝だ」とよくおっしゃってくださいますよね。鷺沼の治安が良いのは、こうした方々のおかげだと感じます。
小林先生:私もそう思います。教員の使命は、社会の次の担い手を育てること。そのための学びの材料は地域にたくさんあって、生活科での街探検や、地域の方のゲストティーチャー授業など、地域の方のご協力無しではできない活動も多いです。文部科学省では「地域とともにある学校」をあるべき姿としていて、川崎市教育委員会でも重点指針のひとつに「川崎市に愛着を持つ子どもを育てる」ことを掲げています。学校教育において、地域というのは大変重要なテーマなんですよ。
―私たち保護者も「地域の一員」として、学校と地域に目を向けていくことが大切ですね!

校外学習「町探検」では、様々な店舗や事業所など、地域の方々にご協力いただいている

鷺沼の店舗をお借りして、子どもたちが授業で作った動画を公開、保護者や地域の方も集まった
最後に保護者にメッセージをお願いします!
ぜひ学校に子どもを見に来てほしい。PTAは我が子を知り、貴重なシーンに出会う場
小林先生:保護者の方には行事日などに限らず、遠慮なく学校に来ていただいて、子どもの姿をもっと見てほしいと思っています。学校からも、学校説明会やホームページで子どもたちの様子をお伝えするよう努めていますが、やはり実際に生で子どもたちを見ていただくのが一番です。子どもがいかにして友だちと関わり、日々成長しているのか、ぜひ見てください。
そして、校長室のドアもぜひノックして、気軽に立ち寄ってください。私に直接質問いただいてももちろん結構です。

「学校に関わることは、自分自身も楽しく学びがある」と吉井会長。学校と保護者の対話が、よりよい教育環境につながっていく
吉井会長:僕はPTAをやることで、いかに日々先生方が創意工夫をし、子どもたちがすくすくと成長しているのか、その尊い姿を見る機会が増えて、すごく視野が広がりました。それを知らないのはもったいないですよ。ぜひ、我が子を一番近くで見て知る場として、PTAを使いたおしてください。ワンデーの子どもサポーターからでも、参加してもらえたらとても嬉しいです。きっと、貴重なものをたくさん見られますよ!
―ぜひ、できるところから参加してみたいと思います。本日はありがとうございました!
~取材を終えて~

さぎまる:たくさんの大人たちが子どもを見守ってくれているんだね。これからも、たくさんのパパ、ママが学校に来てくれるとうれしいな!



